現在、巷には数多くの印材が出回っています。
その印材の数と同じくらい様々な情報が飛び交っている現状で、はたして本当に自分にあった印材が見つかるのでしょうか?
ただ、なんとなく「キレイだから」とか「安かったから」などと言う理由で大切な印鑑を選んではいませんか?
自分にふさわしい「印」を持つということは自分の背丈に合った服を着るのと同じことです。
正しい印材は、ひとりひとり違います。
姓名・生年月日・今の状況・今後の希望などが絡み合って、その人にピッタリの印材を選ぶことができます。
好き嫌いだけで印材を選んで、運勢を捻じ曲げる事のないように注意してください。
印章は、大まかに分けると三つの種類に分類する事が出来ます。
一つは、官印で「天皇御璽」「国璽」「社判」などが代表的です。官職や法人格、つまり無形のものの意志を示すもので、権威的性格を持ちます。角印が正しい形状です。
次に、私印です「実印」「銀行印」「仕事印」「認印」等、通常我々が使用している個人を証明するもので、運命的性格を持ち、初めも無ければ終わりも無い「円満具足」の象徴として正しい正円形である必要があります。
最後に、遊印です「游印」「雅印」「落款印」等の趣味のためのもので、芸術的な性格を持ち、絵画・書道ほか芸術的作品に使用され、形状は自由ですが角印が一般的です。
印材を陰と陽で分類してみました(「死印」と呼ばれる合成樹脂などの人工的な印材は省いています)。人は本来、地上に生活し、陽の気を持っているため、私印に限って言えば「陽の印材」を選んだ方が正しいでしょう(例外も有ります)。ただし。個人の印材を選ぶ時は様々な要素が絡むために、直接に鑑定することでしか導き出せません。ですから、ここでは代表的な「陽の印材」の大まかな特徴をご紹介します。
象牙・黒水牛・オランダ水牛・鯨骨・羊角・鹿角・マンモス・柘(つげ)・鼈甲・黒檀・紫檀・白檀・斧折れ樺・柿・いちい・アカネ
陰の印材
水晶・瑪瑙・金・銀・銅・鉄・白金・黒曜石・孔雀石・大理石・蛇紋岩・ラピスラズリ・虎目石・クリソ・月光石・琥珀・チタン・アベン
印章の耐久度は非常に高く、朱肉のつき具合も柔らかくムラがでにくいため使いやすく、印材としては最高のものでしょう。
1989年ワシントン条約により日本への輸入は禁止になりましたが、その後、南ア諸国のゾウが間引きが必要なほど急増。1999年、一度試験的に貿易を再開。
南ア諸国はゾウの急増により農業被害や人的被害が見られるとして引き続き貿易の継続を要望したため、近年、断片的に出荷されるようになっています。
しかし、このような輸入制限により国内在庫が減少し、良品ほど調達し難く、高価にならざるを得ない状況が続いています。主な種類では少し黄色っぽいインド象系と柔らかい白色のアフリカ象系に分けられます。陰陽で説明すると、この地上で最大の生物であり全ての意味で陽の極となるものがこの象牙です。
古来から神聖で縁起が良いいとされているのも当然かもしれません。九星気学上でも象牙と相性が悪い星はなく、理想的な印材といえるでしょう。
しかし、この象牙も、生息地や部位、印材を採取する向き等によって意味合いが異なり、相性を見極めるには正しい鑑定が必要になります。
黒水牛・オランダ水牛
象牙に次いで印材に適しているのが水牛の角です。
水牛の角は粘りがあり篆刻に適していますが、生息地によって品質にばらつきがあります。
アフリカやフィリピンからの牛角は空洞が多く角がよく反っているために印材には適しません。
印材として輸入されるのはインドとタイの二カ国からです。黒水牛は文字通り黒い色をしているために僅かに陰の気を含んでいて、白や黄色の「発展・前進」では無く「安定・守備」という意味合いが強まります。九星気学で二黒・五黄・八白の土星気との相性が良いようです、ただ、それだけで印材を選ぶのは早計で、判断材料の一つとして下さい。
水牛の中でも、オランダ水牛と呼ばれる白っぽい飴色をしたものがありますが、殆どのものが黒と飴色の斑模様をしていて運勢のムラを暗示します。
特殊な場合を除いて、あまりお奨めしません。しかしまれに純白のものがあり、これを、ある特定の職業の方の銀行印にすると、人の出入りや、お金の動きが活発になることが多く、喜ばれています。※(もちろん印材との相性が良い場合ですが・・)
木に石と書いてつげと読みますが、本来は黄楊と書きます。わが国のつげの産地は、なんと言っても伊豆七島の御蔵島が有名です。いわゆる本つげ(真柘)と言われ、材質が黄色で木質が硬くしまり木目も細かく色艶もいいことから、昔から高級印材として使用されてきました。
つげは比重の大きい物ほど上質とされ、夏冬の温度差が少なく、年間の平均気温があまり高くないことが密度と比重を大きくする条件となり、御蔵島の環境がぴったりなのでしょう。印材として使用されるには七十年から百年ほどの年月がかかるそうです。南国になれば二十~三十年で使えるようになりますが、どうしてもその分だけ木目が荒く狂いも生じやすくなります、タイ産のシャム柘(アカネ)などは早く大きくなるので、安く大量に輸入され三文判などに加工されて出回っています。アカネや南国の柘は論外ですが、御蔵島のつげに限って説明すると、黄楊の方位は東、季節は春、硬の陽の中に静の陰を併せ持っていて、印材としてはすばらしいものです。
三壁・四緑の木星気との相性がよく「木」を助ける一白水星、「木」から生まれる九紫火星にも適しています。(もちろん、一要素ですが・・)しかし、いかに硬いと言ってもやはり木材です、長い期間、朱や水気に晒されることで磨耗や欠けをおこし、印影が不鮮明になりやすく、こと鑑定印に限って言えば、その部位に、より凶運を集める結果となりかねません。そうなる前に早めに作り変える事が開運のポイントでしょう。